日記 intime o'
経緯 - tale 2009/10/31(Sat.)なかなか寝付けなかったので、これをいい機会と考えて前にテレビで見た覚醒 夢を見る為の方法を試してみることにした。心の隅では実は覚醒夢なんてのはただ夢 だと気附いたというだけの内容を夢でみるだけなのだろう、という考えを持ってはい て、だとすると覚醒夢も夢中夢を見るのと、もしくはご飯を食べるという夢を見るの と、まったく同様、かも知れないけれど、でもやっぱり、こんなに良い機会は滅多に あるものじゃないので、試してみる。まずつま先に意識を集中させ、二段階目の行動 をとる前に、寝てしまった。 起きると、もしかしたら違う世界になってる気がする。私だけ前の世界の住人なので、 指をさされて笑われるかもしれない。 私はマイコ。 いやマイコじゃなくて迷子でしょ? そう迷子。知らない世界に独り残されて誰も親切なんかじゃない。足下に私の短めの ズボンを強く引っ張る子がいた。 「私はマイコ」 ああ、この子は私なのだ。どうしようもないから、無視したら子の方も愛想もなく、 私の反対側の椅子に座って、外の流れる風景をつまんなそうに見始めた。この女の子 がつまんなそう、と私が言うのは、窓にこの子の顔が映ったから。電車が駅に止まる と、一人のお婆さんが杖をついて乗ってきたから、どうぞって席を立ったら、近くに 立っていたサラリーマンが、水が穴に吸い込まれるように、素早い身のこなしで私の 席に座っちゃった。先程の女の子は私を見てたのか知らないけど、立ち上がってお婆 さんの手をとって、少し強引にも見える位に 「狭いけどどうぞ」 って席に座らせてあげた。私はその時の、皆の冷ややかな目を忘れない。 罵声の一つでも言ってやりたいんだけど、でもそんなことの為に汚されるような気が して、結局開かない方のドアの前に立って外の景色を楽しんでるフリをした。窓の反 射で電車の中が見える。人はみんな景色の影になって黒のように見える。 私には動くものがみんな──に見える。 というフレーズを思いついた。──に入れる言葉をずっと思案しようと思いついた。 影、は違う。影は喜劇名詞だから似合わない。悲劇名詞でうんと上手い奴を目の覚め る前に見つけたいと思った。
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